オンラインブック
PERFECT BREATH
基礎から学ぶ管楽器の
「呼吸法・発音法」5.
by Shoichi Kameya
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6.ボイシング・ポイント

「ボイシング・ポイント」とは音を当てるイメージのポイントです。ポイントのイメージを明確に持つことによって、驚くほど自在に音色の変化を操ることができます。音を当てるポイントを明確に意識することによって、適切な筋肉が働き、呼吸に関係した体のバランスがとれ、様々な音色の変化が生まれるのです。
つまり各ポイントの意識が音色を作り出す「スイッチ」になるということです。これは「赤」こちらは「黄色」と明確に使い分けることが大切です。
さらには、各ポイントの音色を混ぜて、無限の音色の表現が可能になります。
音楽表現における「表情」「感情」を強く想ったときに、あるポイントが特徴的に働くことがあります。その時の体の部分の働きを覚えておけば、結果、「表情」「感情」と「ボイシング・ポイント」との関連が理解できます。そうして反対に「ボイシング・ポイント」から「表情」「感情」を導き出すことも可能なるということなのです。
音楽では、心に浮かんだ「イメージ」つまり原因が直接「結果」なのです。天才は心に浮かんだことそのままにいわゆる「思うがままに」演奏します。心と演奏の同化、距離のなさが理想です。
表現から息づかいを見出し、テクニックに昇華する。息づかいのテクニックから音楽の表現を導き出すという、「天才の手法を全ての人に」。管楽器だけでなく、全ての表現する行為にジャンルを問わず応用できるとても根元的なテクニックを学びましょう。
「ポジション1」
(効率のポジション)

音の焦点を上下の門歯の歯先から下歯茎の外側の付け根に設定すると、声門閉鎖が強く起こり、音が前に出ます。アンブシュアは「すぽめ」が強く起こり、音は焦点の合った、コンパクトな物になります。息の消費も少なく合理的なポイントですが、大きく吹くと「平べったく」「息の音の混じった」音になりやすいので、息を出し過ぎないように注意する必要があります。また、このポイントは、中高音で派手なジャズのフレーズを吹く時に有用なポイントでもあります。このポイントからクレッシェンドして「ポジション2」へ無理なく移行することで中低音の強奏が可能になります。このポイントの理解から3Bのポジションのことが具体的にわかり、そこから4Bのポジションがはっきり理解できます。この3つのポジションが理解できると演奏に対する具体的な音色の選択の基礎がわかります。
最も基礎的なポジションですからいつもはっきり自覚しておく必要があります。「2の呼吸」を使用します。
「ポジション2」
(安定のポジション)

音の焦点を胸骨の最上端、「鎖骨の中央部のV 字型のくぼみ」に設定します。または、大きく「胸に」当てます。
このポイントは生き生きとした響きのある安定した音が得られます。低音域でアンブシュアを開かずに喉を開くことができます。のどの前側を開くというのは、このポイントに当たった時のことです。「のど仏」が「鎖骨のVのポイント」に下がり、甲状軟骨が下に強く係留され、反対に「口蓋喉頭筋」が働いて喉の奥が広がります。喉が沈む」感じがします。逆に耳の後ろ側が後方上側に引っ張られます。低音の基本的なポジションですが、中高音でもこのポイントを使うことで、安定した音を手に入れることが出来ます。中低音で「ポジション1」からクレッシェンドしてみると、よくわかるポイントです。「ポジション6」を経由して真上から当てる方法もあります。
呼吸は「2の呼吸」を使います。
「ポジション3B」
(楽に吹ける万能のポジション)

音の焦点を上の門歯の歯茎から硬口蓋に設定します。このポイントは広い音域をカバーし、柔らかい響きの乗った音色を特徴とします。アンブシュアは余分な力がぬけて、楽になります。息の消費量は多く、ストレス無く息を使うことが出来ます。このポイントは、声楽的なたっぷりとしたフレーズ、圧倒的な音量のフレーズを吹く時に有用なポイントです。また、このポイントからクレッシェンドして「ポジション5」へ無理なく移行することで、伸びのある高音の獲得が可能になります。「1の呼吸」、吹き上げで行います。
「ポジション6」
(おとこまえポジション)

音をうなじ(頭を下げたときに飛び出す大きな骨)に当てます。
輪状咽頭筋の活性化で喉の後ろ側の空きが担保され、全ての音域に於いて艶のある充実した良く通る、ハリのある音色を得ることができます。
ここから発射して2・1・3B・5・3Aに当てると、どのポイントでもとても安定感が出ます。中高音で大変充実した音色が手に入ります。劇的で説得力のある表現ができますが、疲れやすいので注意が必要です。テノールのハリのある魅力的な音色はここで作られます。「2の呼吸」で行います。
「ポジション4B」
(弱音のポジション)

音を軟口蓋(喉ひこ)に当てます。フランス語の「R」または「うがい」をするときのポジションです。このポイントは豊かで安定したピアノの演奏に大変適しています。息が大量消費され、アンブシュアも大変楽になります。無造作に息を吹き込んでも大きくならず、だれでも中低音域の弱奏が可能となります。このポジションから4Aに移行することで、弱音で無理なく高音に移行することができます。
「1の呼吸」で行います。
「ポジション5」
(高音のポジションその1)

焦点を「おでこ」に設定します。高音の基本的なポジションです。
大量の息を使って高音を演奏するポイントです。このため、表現力の高い、輝きのある表現が可能となります。ポジション6を経由してポジション3Bから突き破って「おでこ」に当てる感じで演奏します。大変楽に高音を演奏することができます。高音でのクレッシェンドはこのポイントを使います。
「1の呼吸」で行います。
「ポジション4A」
(高音のポジションその2)

音を頭頂部に当てます。「純粋頭声」といわれるポジションで、弱声の高音のために適したポイントです。ストローで頭頂に息を吸い込むように、頭頂へ引き上げられた状態で演奏します。純粋で、美しいPPの演奏に適しています。「吸うように吹く」という吹き方です。目が開きます。ポジション4Bから無理なく上行することができます。
「1の呼吸」で行います。
「ポジション3A」
(高音ポジションその3)

音の焦点を「眉間」に設定します。超高音の演奏に使います。鼻から頭頂に向かって息を吸いその時に引き上がった緊張を維持し、鼻をつまんで「ニンニン・・・・」と発音し、響きと横隔膜の強い対応運動を確認しから練習します。超ハイテンションで演奏します。超高音域のみ使用します。中低音で使用すると、鼻声になってしまいます。
強力な「2の呼吸」で行います
*胸声と頭声*
管楽器を演奏する時、大きく分けて二つの奏法があります。声楽で一般的に言われる「胸声」つまり胸に響く低音と「頭声」つまり頭に響く高音です。ボイシングポイントという概念はそれをもっと具体的に分かりやすくした物です。ポジション1・2・6は胸声のポイントです。低音で特徴的なポイントです。ポジション3・4・5は頭声のポイントです。高音で使用するポイントです。しかし、実際の表現では、胸声で高い音を吹く時の特徴的な音色を使うこともありますし、逆のこともあります。音域・音量・表情に応じてボイシングポイントを上手に使い分ける必要があります。