オンラインブック
PERFECT BREATH
基礎から学ぶ管楽器の
「呼吸法・発音法」4

by Shoichi Kameya

5.「丹田」
演奏に役立つイメージとして捉えるために

a.丹田
 「丹田」とは日本の武道や修法でよく使われる、修道法です。一種の「感想術」で、目を閉じ丹田に「神」「仏」「宮殿」「龍」などを思い描き、その結果、気を集め増幅することができるというものです。場所は、「腰椎三番と肛門とおへそを結んだ三角形の中心。つまり、前から見ておへその下10センチの奥にある」という説明が具体的です。いわゆる「へそ下三寸」です。
これは「下丹田」といわれる場所で、エネルギーの湧き出すポイントと云うことです。他に眉間(頭部全体を指すこともある)の「上丹田」。心臓(大きく胸を指すことがある)の「中丹田」と、3つの「丹田」があるといわれています。エネルギーの貯蔵庫といわれ、無尽のエネルギーが生まれる場所といわれています。三つの丹田を意識して練習すると、息のことが、とてもわかりやすいことがあります。筋肉と骨という、西洋医学的な名前よりもこちらの方が感覚的に意識しやすいのです。

b.下丹田
「下丹田」を意識して演奏すると、息の支えが深くなります。「下っ腹で支えて」ということです。斜腹筋・殿筋など、下腹部の筋肉群が収縮して、息を吹き上げる感覚です。低音では場所を意識するだけで効果が出ますが、底からの強い吹き上げを意識すると、どの音域でも太く艶のある表現豊かな音色が得られます。

c.中丹田
 「中丹田」は、鳩尾のところで外側に支えを感じます。口を閉じて「咳」をしたときに押し返してくるところです。多くの人がここを意識することで、大きな進歩が得られます。しかし、ここだけを意識すると低音楽器で音が固くなったり低音が出にくくなることがあります。
 非常に安定した支えのポイントです。しかし、ここを使うには「下丹田」からの息の「吹き上げ」が重要となります。「吹き上げ」に対する「対応運動」として捉えることができます。横隔膜で「吹き上げ」をコントロールするのです。鼻からの吸気による、上半身を充実させた吸気による、呼気時の下向きの息の支えもここで支えます。上半身を大きく広げて吸気し、「鳩尾にぶつける」「腰にぶつける」という吹き方です。この時とても強く安定した音が出ます。しかし、長い時間この呼吸だけを使っていると、体が固くなり、音が伸びなくなります。やはり下丹田からの伸びのある息(純粋呼気)が楽であることに変わりはありません。

d.上丹田
 「上丹田」は眉間(頭部)のポイントで、これだけを意識して音を出すことは不可能です。具体的な息をコントロールする筋肉をもたないからです。つまり「下丹田」「中丹田」からの息のイメージで「眉間」から「息を吹き出すように」「糸を引っ張り出すように」「音が広がるように」等のイメージで捉えるポイントです。実際の演奏には、もっと多様な頭部全体のボイシングポイントを使って音色をコントロールします。

e.丹田呼吸の効果
 「丹田」を演奏のイメージの助けとして捉える方法はとてもわかりやすいです。筋肉や骨の状態をひとつの言葉で表すことはとても理解がしやすく、長くイメージを持続することができます。また、イメージとして捉えるため、演奏時の体の緊張が緩和されます。「これとこれを注意して・・・・っと」考えていると上手く吹けません。演奏直前に一気にイメージがまとまることが必要ですから、エイッという感じで吹かないといけません。そのためにはこの「丹田」のイメージはとても有効な方法のひとつです。
 しかし、呼吸法の全体像がつかめていないと、言葉だけが一人歩きしてしまって、とても滑稽なものになってしまいます。「わかったつもりになってしまう」からです。耳と共に練習が必要です。

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